夏の思い出~てぬぐいさん~ | ちびちび!

夏の思い出~てぬぐいさん~

夏休みにお祭りがあった。てぬぐい持参で数日近くのお宮に盆踊りの練習に通っていざ本番も終わり、満足げな表情のちびちび。2日行われるお祭りの一日目が終わった。
ちびちびを見てはっとして、
「ちびちび、てぬぐいは?」
と声をかけた。
ちびちびの首にかかってたてぬぐいがない。
オロオロするちびちび、何かものをなくすということに不安があるらしくて家に帰るまでずっとてぬぐいのことで頭がすっきりできなかったようだ。

「あのてぬぐいはお父ちゃんのだよね…?」
「うん。でもあんなのいっぱいあるから大丈夫だ。」
「お父ちゃん、怒るかな…。」
「(どっかのマラソン走った参加賞かなんかの複数本あるてぬぐいだから)いっぱいあるから別に一本なくなったって怒らないさー。」
「…でも…」
不安げなちびちび。不安なのもわかるんだけどなぁ…。

その夜、ベッドに入ったはずのちびちびが30分ほどしてとぼとぼとこちらにやってきた。いつもなら怒って寝かせるんだけど、どうも今日は様子が違う。
「どうした? 眠れないの?」
「あのね… あのね…… てぬぐいのね…」

ああーー…(笑)

「大丈夫だよ。じゃあ明日になったら朝探しにいこうか。誰かが拾ってどこかにひっかけてくれてあるかもしれないから。ね。」
「今から探しにいこうよぅ…」
「……いや、もう練習終わって真っ暗だから探せないよ。明日にしよう。」
外はしとしとと小雨が降りだした。ちびちびは悲しそうな顔になって。
「だって… だって…」
「だって、何?」
「てぬぐいさんが泣いてる…」

なんていうかねぇ… この人は優しいのか、なんなのか 思わず微笑ましくなってしまった。
頭をなでなでしながら、
「大丈夫だよー。心配ないよ。絶対見つかるって。」
と慰めてはみたものの、落ち着きそうにないので下の部屋にいるちいさいばぁばたちのところに話をさせに行ってみた。(うちの母、幼稚園教頭なんで子供の扱いはプロなので安心してお任せ)
そこでもちびちびの行動を笑ったりしないで、静かに話を聴いてくれた模様。ありがたや。いつもは一緒に寝ないんだけど、安心させるために一緒に眠った。

結局翌日も見つけることができなくて、こちらもなんだかスッキリしないからちびちび専用のカッチョイイてぬぐいを一本購入して張り切って出かけていった。でも最後まで引きずっていたけれど。

もう秋ねぇ… あんなこともあったのねぇ… なんてカバンを整頓していたら、アラ、何か奥に丸まってる…。ハッ コレハッ!!??

「おがーーーぢゃん!!!!!(怒」

……そうだった。ちびちびの盆踊りが終わったときにママンが、
「ちびちび、てぬぐい持っててあげるよ。」
って声かけててぬぐいしまってたんだった……。

……ていうか、オマエも気が付けよッ!
……いや、今回はママンが一番悪いのねってことで家族皆から責められましたとさ。チャンチャン。